1年半に及ぶこの長旅、大きなトラブルはなかったものの、カメラ故障2回、タブレット破損、体調不良2回経験しました。
その体調不良2回目の話です。この憂鬱な顔よ・・・
もともとお腹は強い方なので、わりと水道水も飲んでいたし、野菜フルーツなど生のものもパクパク食べて問題ありませんでした。
一度目の身体へのダメージは二段ベッドからの転落による骨折。
2本折ってましたがこの笑顔。痛かったのは落ちたその日の夜だけ。あとは病院でギプスつけて、自分で外して治りました。
まさか二度も海外で通院することになるとは。
南米に入って高度の違うところをわりとちゃかちゃかと移動していました。
標高4000メートル級の町へ、その次は海岸の町。海岸の町は標高ゼロに近いです。そしてまた標高の高い山方面へ・・・
そうこうしているうちに身体に疲れが見えてきます。それでも街を堪能したいし、歩きたいし
旅の後半で時間もお金も限界が見えてきたから、次に進まなければいけない。
そんな状況で、少しずつ食欲が衰えてきます。写真をアップするたびに友人から痩せたね、と言われます。
もともと耳が弱い体質だったこともあり、耳に違和感を感じるようになります。
聞こえにくくなり、誰かの声を聞こうとするたび耳に痛みを感じるようになります。
メキシコは大きな国だし、首都だったらきっと安心して通院できるだろう・・・
そう踏んだ私はこのタイミングで加入していた保険会社へ通院の相談をすることにしました。
何もわからない土地で、むしゅ以外に頼りになる人がいない中で、自分の身体に違和感を感じることがどれだけ不安なことか。
そして自分の身体に起きている違和感は何なのか。
不安でした。
耳が聞こえにくいので、保険会社のスタッフに相談するときも受話器からの声も聞きとりづらくメールでのやり取りにしてもらいました。
ありがたかった・・・
日本人医師のいる病院があるとのこと、藁にもすがる思いで、朝一番に予約したクリニックへ向かいます。
身体が弱っている中で2000万人と言われるメキシコシティの満員電車は酷でした。
ラッシュ・アワーは女性専用車両が設けられているようです。このバリケードより向こうは女性のみ行けるようで、警察が監視しています。
ようやく着いたクリニックは本当に小さなクリニックで、普通の家のようでした。
私を診てくれたのはタカハシ先生。
満員電車にくたびれてしまい、フラフラしながらようやくたどり着きました。
先生はまず尋ねます。
「メヒコは初めて?」
「はい。」と私。
「どこに行ってきたの?」
そのあとも世間話のような質問が続き、私はとうとう切り出してしまいました。
「先生、申し訳ないのですが、声を聞こうとすると耳が痛むのです。」
すると身体検査を始めます。身長、体重から・・・
体重は5キロほど落ちていました。
そして、念入りに行われた(!)胸郭の動きチェックと心音チェック。
不安が一気に爆発します。
「先生!先ほども言ったように、私が診てもらいたいのは耳なんです!」
むしゅは笑っています。ギャグのようで面白かったんだそうな。
「はいはい、わかっています。今、治る注射を打ってあげますからね。」
えー!まだ身長体重、それから肺しか診ていませんが・・・
「そんな注射イヤです!」
「あぁ、注射怖いんだね〜」
そりゃ、怖いですよ!!!何の注射ですか?!
そのあと、耳も見てもらいましたが、私の耳の中を見てびっくりするくらい腫れている、ということを聞いたのですが
ガン患者が家系にいるかなどの問診が続き、結局診断名はわからず。聞いても
「めまい止め、抗生物質、点耳薬出しておくからね」と言われただけで、ますます不安が広がります。
薬局に持っていくよう持たされた処方箋。私の病名は何なの・・・
そのまま薬局に行って薬を買い、先生の出してくれた薬を飲む・差す以外すがるものはなく、もしも治らなかったらまた保険会社にお願いして
自腹になってもいいから病院に行こうと思ったのでした。
すがった薬3種。
結局、先生の処方してくれた抗生物質が効いて私は快方に向かったのでした。食欲がなくても頑張って食べて、しっかり寝る事も心がけました。
おそらく、中耳炎か何かだったのでしょう。疲れと、高度差で耳に炎症が起きたのではないかと。
あの時はいいことを考えられなかったなぁ。身体が参ってしまうと、精神的にも追い詰められてしまうのですね。
まぁよかった。メキシコをこのあとも1週間ほど滞在しましたが、その頃には完全復活しました。
そんな旅のピンチも、今となってはいい思い出として笑い話です。