今回のヨーロッパのパン事情はヨーロッパを少し飛び出して、イスラエルも登場します。
イスラエルはユダヤ人が600万人住む国です。第二次大戦後にイスラエルが建国されるまで、ヨーロッパには多くのイスラエル人が住んでいました。
ユダヤ人のパンといえば、ベーグルが有名ではないでしょうか。
ベーグルをググってみます。
ベーグルは1880年代にユダヤ系ポーランド人によってニューヨークから広まった(wikipediaより引用 )
アメリカ・ニューヨークからベーグルは世界中に知られるパンとなったようです。
こちらニューヨークのユダヤ人地区で食べたベーグル!美味しすぎました。
イスラエルで食べたベーグル!
ニューヨークで有名になったベーグルの故郷と言われているポーランドにもベーグルは存在しました。
ポーランドではオブヴァジャネックと呼ばれています。ポーランド語で茹でて焼いたパン、という意味。ベーグルの作り方そのままの意味です。ベーグルはベーグルという名で広まっていますが、それとは違った道を歩んでいるパンに出会いました。
それは編みパンです。イスラエルではハッラーと呼ばれます。
編みパンは様々な名前でヨーロッパのあちこちで発見しました!
ハッラーは
ユダヤ教徒が安息日や祝日に食べるパンとしての位置付けがあります。(
wikipediaより引用)
安息日とは聞きなれない言葉ですが、我々のいう、日曜日みたいな位置づけ、と言ったらわかりやすいでしょうか。
ユダヤ教にとってそれは土曜日です。
土曜お休みになるパン屋さんへ金曜の夕方までに買ってきて、土曜に食べる、というのが習慣なんだそうです。
金曜夕方のイスラエル・テルアビブにあるパン屋さん。
明日土曜はお休みなので全品半額セール!写真中央のパンもハッラーと同じ生地を使ったパンだそうです。
エルサレムの市場の中にあるパン屋さん。ここはハッラーしか売られていません。
ドイツ
ドイツではツォプフと呼びます。ドイツのパン職人になるための第一関門の試験では、この編みパンをうまく作れるかどうかの実技試験が行われます。練習する私たち。
オーストリア オーストリアではシュトリーツェルと呼ばれます。ユダヤ人と同じように、これは休日や祝日に食べます。
これはイースターの時に買ってきたシュトリーツェル。ドライフルーツ入りです。
スイス スイスでもツォプフと呼ばれる地域が多いでしょうか。スイスの日曜日といえば!ツォプフのようです。
ハンガリーハンガリーではコラッチと呼ばれます。バターを薄く塗ってジャムを塗って食べることが多いそうです。他にもフランスでは
トレセ、イタリアでは
トレッチャ、ロシアでは
ハーラという名前で親しまれているそうです。
ヨーロッパの編みパン、これら全てレシピはほとんど同じなのです。イーストを使ったパンで、卵、バター、牛乳の入ったリッチなパンです。
ユダヤ人のパンとしてハッラーを取り上げましたが、これが果たしてユダヤ人がルーツなのかは未だはっきりしていません。
ただ一つ言えることは、上に紹介した編みパンのある国々にはユダヤ人がかつて多く住んでいたこと、そしてユダヤ人がヨーロッパで暮らす中で、ヨーロッパの国々と食文化を共有・融合していたということではないでしょうか!
日本は島国なので、近代での文化の融合など感じにくいですが、ヨーロッパはこういったところにも面白さを感じました!