カッスルトンからさらに歩いて、続いてはマカイバリ農園です。
この辺りの山々は一面茶畑。
オータムナルの収穫を終えて、春を待つダージリン。木々が冬の色をしています。
収穫時期よりもずっと労働者は減りますが、こうやって木の植え替えなどをしている姿をぽつりぽつり見かけます。このグネグネした道をトラクターで、摘んだ茶の葉を入れた茶袋を工場に持って上がり、茶に加工します。 看板発見!
さらに進むと!日本語!!ここに来るまで知りませんでしたが、日本では有名な農園のようです。
事務所らしきに伺ってみます。
すると男性が対応してくれます。その人がオーム氏でした。
「○○子の知り合いか?」
私「いいえ、その人は知りません」
「じゃあどうやって来た?」
私「ガイドブックに書いてあったので。歩いて来ました」
・・・オーム氏黙る。
まさか6キロの行程をこんな一人の日本人が歩いてこようとは思ってもみなかったのでしょうか。
しばらくの沈黙の後、オーム氏は言います。
「まぁいい。座れ。茶を淹れてやるから」
そう言ってオーム氏は茶を淹れてくれました。
日本と取引があること、この農園を紹介する日本のパンフレットがあることなどを教えてくれました。
1924年ダージリンはお茶栽培を始めたんだそうです。そしてこの農園も同時期くらい古いと言っていました。
そして1988年、マカイバリはオーガニック栽培を開始し、農園でのホームステイも始めました。
「ホームステイに泊まっていけば良い。そうすればいろんなことがわかる。今の時期は人が少ないし、いいんじゃないか」
ダージリンに宿を取っているし、荷物も何も持っていないので、丁寧にお断りしました。
「次来た時は、ここに泊まりなさい」
私「オーム氏は一日何杯くらいお茶を飲むんですか?」
「22杯だ」
きっちり!
「朝は緑茶だ。朝は緑茶と決めている」
この農園、聞いていると緑茶の生産量が全体のなんと25パーセントも作っているそうで。
「世界的に緑茶を求められていることがわかるから緑茶を多く作っている」とのこと。
ダージリンといえば紅茶ですが、このへんの器用さというか、需要をキャッチして対応するインド人はさすがだと思います。
もっと昔はチャイを発明したわけで。
紅茶は茶葉を切るプロセスがあるのですが、その時に粉々の茶葉ができてしまいます。
いいところは外国に持っていかれるかわりに、粉々の茶(ダストと呼ばれる)がインドに残され
そのダストでインド人はチャイを作るのです。ダストだからこそ、チャイがインドのチャイになるんですよね。
オレンジペコーと呼ばれる大きな茶葉ではしっかり濃く茶が出ないですから。
今やダストを買って世界中がインドのマサラチャイを作っているという。
時々インド人はすごいなぁと感心してしまいます。
そしてオーム氏は工場の中に案内してくれることになりました。
工場はお休みに入っているので、電気も何もついておらず、薄暗い部屋!なので、写真が撮れませんでした・・・。
スリランカでも紅茶農場に見学に行って、加工プロセスを多少なりとも勉強していたので、オーム氏は感心してくれました。
紙幣パニックで現金をあまり持たないことを説明していたのですが、ガイド料は完全無料で対応してくれました。ありがとう、オーム氏。
カードが使えないので、ここでセカンドだけ購入しました。
「ファストなんかはダージリンの紅茶専門店に行けば買えるから」
オーム氏はシェアタクシーも捕まえてくれて、私に乗車料金の適正価格を告げてお礼もあやふやなままお別れしました。
ありがとうオーム氏。
ダージリンの茶畑を一望して、働いている人に実際に会って話を聞いて。来てよかったと思いました。
やっぱり来て見ないとわからないことって、あります。文章では全然伝えられていない気もしますが、
それでもやっぱりホンモノを見るって、いい経験です。
今まで手にして来た、海を越えた遠くから来ているもの。
コーヒーと茶、ポルトガルでポートワイン、キューバでラム。実際に見に行ってみたものはこれだけですが
もっといろんなことを知りたいと思います。