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ここまでどうしてのめり込むのか?

この問題関連の資料を集めては読み、このトピックは自分の興味があることだと気づいて数年が経ちました。

そのトピックとはユダヤ人に対するホロコーストのこと、ひいてはイスラエルとパレスチナの問題のことです。


旅行中もその関係のものがあれば、積極的に足を運び結局、ユダヤ人の教会・シナゴーグにはドイツからモロッコ、キューバまで数カ国に及び訪問しました。
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ブルガリアの首都・ソフィアのシナゴーグ

ユダヤ人の国・イスラエルも訪れました。
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「一見は百聞にしかず」とはまさにこのことで、頭をガツンと殴られたくらいのカルチャーショックがありました。


第二次大戦時のナチスによるユダヤ人のホロコースト関連の資料は本当に掘れば掘るほど出てきます。
特定の民族を狙った大量虐殺は何もユダヤ人に限られた事件ではなく、そして、ユダヤ人が狙われるのはナチスに始まったことではないにもかかわらず。

資料が大量にあるのは戦後ドイツがホロコーストを認めたことに理由はあるのかもしれませんが、マメに記録していた勤勉なドイツ人、どんな小さなことでも伝承するユダヤ人という性質も影響しているような気もします。


ユダヤ人のホロコーストに関する資料は世界中どこでも見つけることができます。

アメリカ・ニューオーリンズで見つけたホロコースト・メモリアル。ここで何が起きたかは調べても出てきません。
この記念碑にも具体的に何がここであったのか、特に書かれていませんでした。
ただわかったのは、シナゴーグが街に二つも大きなものがあるほど、ユダヤ人の人口は多いということだけでした。
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こういった記念碑は寄付によって作られています。きっと、ユダヤ人が自分の住む町に記念として、伝承するために作られたのでしょう。


世界各国で伝承されているホロコーストの悲劇。そんな悲劇の中にあった杉原ビザによる救出劇はユダヤ人の間で今でも忘れられることがありません。

ビザだけでなく、日本にたどり着いたユダヤ人が日本でどんなもてなしを受けたかということ ー銭湯を解放してくれたこと、食べ物をわけてくれたことなどを、80年近く前のことであるにもかかわらず、伝承されているのです。

リトアニア・カウナスにある杉原がビザを書いた旧領事館。
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ここで私は杉原ビザで難を逃れ、アメリカに渡った祖父・祖母を持つアメリカから来た若者と領事館の見学を共にしました。

ここは閑静な住宅街の中にあり、カウナスの観光スポットからはずいぶんと離れています。ここに来るのはこの見学のみ、「ついで」で行ける場所にありません。彼らはここに展示されているものを一つ一つ、説明も丁寧に読み聴き、「学ぶためにここまで来た」と実際に言っていたし、その意気込みが伝わってきました。

戦後70年、戦争の悲劇は過去のこととして記憶が薄れつつある日本人とは違いがあるような気がしてなりません。


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ところ変わってイスラエル。

ここでのカルチャーショックとは、イスラエルという「ユダヤ国家」にアラブ人がごく普通に暮らしていることでした。

ユダヤ国家のパレスチナ人

デイヴィッド グロスマン/晶文社

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これは、イスラエルに住むアラブ人(この本でいうところのパレスチナ人)の思うところについて、エルサレムに生まれたユダヤ人によって対話形式で書かれた本でした。

ここに住むパレスチナ人は宙ぶらりんな状態。本当はアラブ系イスラエル人と呼ばれるべき人々なのに。
イスラエルに住み、働いて市民権を求めるにもかかわらず、アラブ人をイスラエル人とは呼ばないユダヤ人。常によそ者として扱われている状態です。
パレスチナに住むパレスチナ人からは「イスラエルにお世話になっている」アラブ人と呼び、同じ民族からもよそ者として扱われる始末なのです。

では、パレスチナ領に帰ったらいいじゃないのか?
そんな簡単なことではありません。土地を、家を捨てて去れるものでしょうか。去ってパレスチナやヨルダンなどに定住した人も多いそうですが、それでも愛する土地に残り、イスラエルと共に生きようと奮闘している人もいることは事実なのです。


過去から現在、これだけ考える要素があって、多種多様な意見があって、ラブ&ピースを考えるのために学ぶのにいいんじゃないかと思うのが私の思うところなのです。
ガザ侵攻などイスラエルの犯した様々な事件は許されるものではありません。しかし、荒地を買ってイスラエルを建国したと教えられ(本当はパレスチナ人が住んでいた)、建国したものの敵となってしまったアラブ人に囲まれ、パレスチナ人が怖いからと言ってユダヤ人が壁を作るのも、イスラエル国内の防衛能力を高めるのも、少しは気持ちがわかるような気がします。

壁に囲まれて暮らすアラブ人、対イスラエルには暴力しか解決はないと思う人、兵士によって家族を失った人のこともまた当然、考えるべきことです。

そして、先ほど挙げた本の著者のように、真剣にこの問題を解決すべく奮闘しているユダヤ人・アラブ人の存在があることも、もっと知りたいことです。


西独元首相・故ヴァイツゼッカーは言っていました。
「過去に目を閉ざすものは現在にも目を閉ざすことになる」

この言葉から一時期遠ざかっていた時期もありました。学んだところで、戦争がなくなった歴史はないじゃないかと。

だけどやっぱり、人間くさく生きていきたい。学んで何になるのかと言われても答えにはならないけど、考えたいから、興味があるから、でいいんだと思うようになりました。

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)

山井 教雄/講談社

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これはうまくまとまっていて、マンガですぐ読めるし、何度も読み返そうと思いました。

そんな私の、2016年の始まりでした。

by sahne-miz | 2016-01-06 00:24 | 考える

広島在住、旅好き人間です。訪問国は70以上。冒険求めて世界中どこまでも。世界の食探検「あかいはりねずみ」オープンしました。


by sahne-miz
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